Amazonのマーケットプレイスで中古販売されている本は状態が「良い」「非常に良い」「ほぼ新品」で価格は大きく変わります。状態の指標はコンディションのガイドラインで定められていますが、その判断は売り手の裁量に委ねられます。そこで、未使用状態の「新品」と非常に綺麗な状態の「非常に良い」の間にある「ほぼ新品」がどれだけ新品に近いのか、注文してみました。
注文したのは、1997年発行の『ミニコミのつくり方』です。「可」「良い」「非常によい」100円以下から500円まで幅があり、「ほぼ新品」は500円以上です。今回は560円の「ほぼ新品」にしました。

届いた本は手垢や日焼け、色褪せは見られず、折り目なし。角にスレはあるものの帯付きでした。出版社のアンケート葉書もそのままで、奥付は第1刷。より低いコンディションでも良い状態のものはありそうですが、「ほぼ新品」でこの状態が保証されるとすれば安心でしょう。
さて、この『ミニコミのつくり方』。テーマの面白さはもちろん、装丁や構成も読みやすく作られています。中学生の頃に図書館で借りては返しを繰り返し、毎日読んでいました。

著者の近藤恵さんの経験を元に書かれており、学生時代の手作りの冊子から商業誌に至る過程は私小説のようでありながら実用的です。手作りの版下作りからDTPへ移り変わる時期の記録として見るの面白いと思います。全体を通して使われているむろふしかえさんのかわいいイラストがポイント。小さめの版型ながら注釈が効果的に使われており、内容の豊富さと読みやすさが両立されています。平綴はよくやったし、インレタでのノンブル付けは高校の先生に感心されてしまいました。
本書を初めて読んでから14年ほど経ちました。作中に出てくる「MAC(エムエーシー、と読んでいた)」というコンピュータを自分でも使うようになりました。職はWeb系になりましたが、何か作りたい欲求については本書の影響があります。久々に読み返しても、つくる楽しさが書かれている本書に色褪せる点はありません。本書に綴られた経験は、今も新品の知識として使えるはずです。