この記事の原文は2012年6月に書かれた。今となっては只々恣意的な内容だが、当時の気持ちがよく分かるので公開しておく。
5月の意外なニュースを憶えているだろうか。Coda2のリリースだ。Codaのパッチを待っていた我々にとっては嬉しさ半分、悲しみ半分のサプライズだろう。これはOSXとiPhoneの普及、それにHTML5をはじめとする最新技術の発展うけた特別なアップデートだが、はっきり言ってこのアップデートに失望している。もしこのソフトウェアが無料ならば文句の許されない仕上がりといえるだろう。しかし私達は99ドルの領収書を受け取る必要があるのだ。
Coda2に関する表層的な賞賛のレビューはオンライン上に溢れているようなので、ここに書くことは否定的に受け取られるかもしれない。なお私は従来からCodaユーザであり、現在はCoda2をメインに使っている。また、プラグインは考慮に入れていない。
Codaとの違い
アイコン
少し色が濃くなった。並べれば気づくし、Codaの利用者なら区別できるだろうが、それ以外での区別が難しい。
機能
いくつかの歓迎されるべき機能が追加されているが、多くはCodaの修正パッチとしての提供が望まれたものだ。外観については慣れの問題があるものの、Codaの方が扱いやすく感じる人もいるだろう。
- ファイル切替が従来のタブから独自UIになった
- ロケーションバーがデフォルトで右側になった
- アプリを再起動しても開いたタブが維持される
- ウィンドウ復元オプションでOSを再起動してもタブが維持される
- 行番号の横にHTML要素の深さが色で示される
- Sass(scss)のシンタックスハイライトを標準搭載
- ファイルを更新した際に、ローカルビューのファイル名に更新マークが出なくなった
- ローカルフォルダとリモートフォルダの切替ボタンが画面下になった
その他、Gitが使えるようになったりiCloud同期が加わっているが、パッと見で上記の変更が目立った。個人的には、Codaの使いづらさはそのままに、ベンダーの思想をユーザーに押し付けたようなアップデートだ。あなたがMacに傾倒しているならば、独特のUIとシンプルな機能は上手くマッチするかもしれないが。もしDreamweaverやVimでの作業に慣れているのなら、興味本位で購入する必要はないだろう。
怪現象
Coda2を入れた同時期に起こった現象であるが、Coda2との因果関係は明らかでない。
- 初回起動時にiCloud同期の設定を行うと、その後の起動の際にDockでアイコンが長時間跳ねたり、サイト設定の読み込みでバルーンが回りっぱなしになる
- OS終了時にCoda2だけ終了が遅い(iCloud同期か)
- OS起動の際、起動ディスクを設定していないかのように立ち上がりが遅くなる
- OS起動の際、プログレスバーが出現し、長時間読み込みが行われる
- OS起動の際、ウィンドウの復元ができなくなる
お勧めできるか
おすすめはできない。まず、バージョンに関わらずCodaは未完成だ。未完成という言葉が不適切なら、非常に独特といえる。プログラムやウェブサイト制作の環境は人それぞれで、Codaはその一部のニーズに合ったソフトだろう。ウェブのコーディングに特化しており、HTMLとCSS、若干のPHPとJavaScriptだけを扱うにはよい環境となる。しかし、高度な機能を求め続ける場合はそれに応えてくれないかもしれない。
染まらないエディタ
Macに万能エディタは少ないが、専門性の高いエディタには恵まれている。Codaはその名のとおりコードエディタであり、HTMLを書くうえでの必要な機能は十分に盛り込まれている。それ以上の機能はない。設定できるのはユーザビリティに直結する部分だけで、Macとコーディングが好きな人のためのエディタだ。Codaはあなたの色には染まらないが、あなたはCodaに染まることができるだろう。